【エビデンスで比較】トリガーポイント鍼灸とトリガーポイント注射
腰痛や肩こり、筋膜性疼痛に対して、「トリガーポイントに直接アプローチする治療」が注目されています。
代表的なのが、
- トリガーポイント鍼灸(ドライニードリング)
- トリガーポイント注射(トリガーポイントブロック)
の2つです。
今回は、それぞれの違いと効果について、科学的な視点から比較してみましょう。
■ 目的は同じ「筋肉のトリガーポイントに刺激を入れる」
どちらの治療も、共通する目的は筋肉の奥深くにある“トリガーポイント(筋硬結)”に直接刺激を与え、痛みを軽減させることです。
違いは「何を使って」「どう刺激するか」。
トリガーポイント鍼灸(ドライニードリング) | トリガーポイント注射(ブロック) | |
---|---|---|
使用するもの | 鍼(非注射、薬剤なし) | 注射針+局所麻酔薬など |
施術者 | 鍼灸師(国家資格) | 医師のみ |
即効性 | 比較的ゆるやか | 即時的(麻酔効果) |
持続効果 | 徐々に持続しやすい | 効果が短期的になることも |
副作用リスク | 低い(薬剤なし) | 感染・アレルギー・内出血のリスクあり |
■ エビデンスによる比較
- 鍼灸(ドライニードリング)は持続効果に優れる傾向
2020年のメタ分析(Gattie et al.)では、トリガーポイント鍼灸は中長期的な痛みの軽減効果に優れるとされています。
薬剤を使わず、自己治癒力を引き出す点が評価されています。
- 注射は即効性があるが持続性に課題も
一方で、トリガーポイント注射は即効性には優れるものの、根本的な改善にはつながりにくいとの指摘もあります(Fishbain et al., 2010)。
特に、薬剤の効果が切れた後に痛みが戻るケースも報告されています。
- 両方とも有効だが、患者の状態に応じて選択すべき
2022年のシステマティックレビュー(Dommerholt et al.)では、ドライニードリングと注射はいずれも有効だが、薬剤アレルギーや副作用リスクを考慮すると、鍼治療は安全性が高いと結論づけられています。
■ 実際どちらを選べばいいの?
急性期や強い炎症がある場合は、注射が選ばれることもあります(※医師判断)。
慢性的な筋緊張や、薬に頼らず自然に整えたい場合は、トリガーポイント鍼灸(ドライニードリング)が適しています。
特に当院では、触診によるトリガーポイント評価と、深層筋へのピンポイント施術を組み合わせることで、再発を防ぐアプローチを重視しています。
■ 最後に
鍼と注射、どちらも「刺す」行為ですが、アプローチの考え方や目的には明確な違いがあります。
「薬に頼らず、根本から体を整えたい」
「繰り返す痛みを本気で何とかしたい」
そんな方には、トリガーポイント鍼灸が非常に相性の良い選択肢になります。
気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。