近年、「美容整体」や「小顔矯正」「骨盤矯正」などを謳う施術がSNSや広告で目につくようになりました。しかし、これらのサービスには科学的根拠がないにもかかわらず、高額な費用を請求する悪質なケースが後を絶ちません。
今回は、エビデンスベースの鍼灸師としての立場から、「美容整体」という職業がなぜ疑わしく、危険性すら孕んでいるのかを明らかにします。
【医学の基本すら無視した“矯正ビジネス”】
まず、小顔矯正。
成人の頭蓋骨は22個の骨が縫合線でガッチリ癒合してるのに、外からちょこっと押したぐらいで変形するなら、それ頭蓋骨骨折レベル。
そして骨盤矯正。
「骨盤がズレてる」とか言うけど、ズレてたら病院送りですから。
正しくは「仙腸関節は2~4mm程度の微小な可動域」しかありません。
それ以上“動く”としたら、それ病的可動か脱臼です。
(参考:Vleeming et al., 2008)
【エビデンス出せますか? → 無理です】
論文検索しても、こういう文言は見当たりません。
・「顔を揉むと小さくなる」
・「骨盤矯正で代謝が上がる」
・「背骨を調整すると痩せやすくなる」
全部、美容整体業界が創作したマーケティング用語です。
科学論文では、こうした手技が身体構造や代謝に影響を与える根拠はゼロ。
もしあるなら、世界の理学療法士がとっくに導入してます。
【資格者が加担してると恥ずかしさ倍増】
さらに残念なのは、柔道整復師・理学療法士・鍼灸師といった国家資格者までが、この無根拠ビジネスに乗っかってること。
「骨盤矯正って本当は根拠ないけど、みんなやってるから…」
→ その時点でアウト。
資格者こそ“科学と倫理”の番人であるべきなのに、
「売上のため」とエセ科学に魂売ってるのは、見てて痛い。
流行ってるから正しいわけじゃない。
SNSでバズってるから効くわけでもない。
医学の世界は常にこう問う:
それ、再現性ある?
それ、RCT通ってる?
それ、メタアナリシスで肯定されてる?
答えが「NO」なら、
それはただの「気のせい」と「営業トーク」の産物です。